声
あなたの声を 電話で聞いただけで その日一日 こころがなごむ 理屈じゃねんだよなあ みつお
相田みつおさんのこの詩が好きです。 昔、ある方が、携帯ではなく いつもワザワザ、会社へお電話くださいました。外出先から携帯で返信すると 「岸さんの声は 普通の 電話の方がまったく良いですよ」と云われ、「そういうもの??」と 照れくさいながらも公衆電話で都度掛け直しをしたものです。 いつしか、携帯嫌いだったその方も、携帯を持つようになり、便利を優先して頻繁にやりとりしました。もう声云々はおっしゃいませんでした。 病気になりました。 いよいよ外出もままならなくなったその方に、車載の携帯から 毎日励ましの電話を入れました。 亡くなったあと、病苦の人には、私のその声は強いデジタルな音でしかなかったのでは〜と気がつき 申し訳なく反省しきりでした。 又以前、私が手術を受け、麻酔から醒め始めたとき、先ず、周囲の励ましや喜びの声が聴こえ始めました。目も開かず、声もまだ出せません。でも聞こえているのです。聞こえないと思い耳元で大声で呼ぶ人には閉口しました。 また、死期が迫った人に声掛けすると 自発呼吸器の数値があがる事も、身内の病室で知り驚きました。 聴覚は人の五官の中で最後まで生きつづける感性なのでしょうか? そして、この「詩」に 出会いました。 手で覆わないと入って来てしまう音声。 聞いて下さった人に喜ばれる声、癒されたと感じていただける声、 又聴きたいと思っていただける声を、つねに磨いていきたいと思っています。 今年もたくさん発声させて戴きありがとうございました。 来年もよろしくお願いいたします。
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